アドラー先生と岡本太郎と徒然草と山月記に学ぶ、「嫌われてもいい、行動しよう」という発想
ニコニコ動画のみならず、動画サイトでは日々罵り合いが続いています。
「こんなクソみたいな動画が伸びるとか意味不明!!」
「お前の声気持ち悪い!!動画あげんな!!」
世に出ている小説なんかでも、
「なにこれつまんねー、こんなもんがベストセラーかよ」
なんて意見は、色々な掲示板やブログでかなり目に入るものです。
たとえ作者が喜んでもらいたい一心で作っていても、必ず誰かしらは批判をする。
作っている人はそれでダメージを受けるものです。
「もうこんなんじゃ作品を作りたくなくなっちまうよ・・・」
って感じになる人も多いでしょう。
しかしアドラー先生は言うのです。(※オーストラリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家)
「こう考えるんだ ”嫌われちゃってもいいさ” と考えるんだ」
アルフレッド・アドラー (1870 - 1937)
世の中にはいろいろな人が居ます。
人間は多様性があるのです。
好き嫌いだってある、嫉妬だってある、
でも30%の人から暴言を言われたところで、残りの70%はあなたを受け入れてくれている。
あなたが善意で行ったことなら、
たとえその結果、嫌われたとしても気にするな!
どんどん動け!自分の信じるままに行動しろ!!
そう言っておられるのですね。
…いやまあ詳細はゆうメンタルクリニックのweb漫画をどうぞということでね
自分の文章力じゃやっぱり全然伝わらないですわこれ…
◆ゆうメンタルクリニックWeb漫画 第7回「嫌われても気にするな!」
http://yuk2.net/man/141.html
で、なんでこれについて書いていこうと思ったのかというと、
「どんどん動け!嫌われたっていいんだ!」
という教えって、本当に色々な本に出てくるんですよね。
上で挙げたアドラー先生は言わずもがな、
・教科書に載ってて有名な山月記(今も載っているのだろうか?)
・そして嫌われてる云々というか、どんどん動けよと言っている徒然草。
・「どんどん嫌われろ!!」と言いまくりの岡本太郎
自分の貧弱な読書データベースではこれしか引っかかるものがありませんでしたが、
恐らくこの考え方は、世の中に出ているあらゆる書物の中で定番の真理なんじゃないかと思うんです。
自分なんて今まで全く動いてきませんでしたから、
この教えの大事さが痛すぎて目を逸したくなるほどわかりますね…
さて、中島敦の山月記ですが、これはまさに
「嫌われたっていいんだ、行動しなきゃいけないんだ」
という考え方を教えてくれるものだなと思います。
登場人物である李徴(りちょう)は、詩人としての大成を目指すのですが挫折し、
屈辱的な暮らしの後、気づけば虎になっていました。
その原因はなんであったかを虎になった李徴が語るわけです。
「私は自分の詩を互いに見せ合い、批評することをしなかった」
「それは自分に才能がないと気付かされるのが怖かったからだ」
他人に見せることで批判される(嫌われる)ことを恐れ、交流を避けた結果、
詩人として大成することもなく、遂には虎になってしまう。
「臆病な自尊心と、尊大な羞恥心」という言葉は、この作品を読んだ人ならとても頭のなかに残っているフレーズではないでしょうか。
とはいえ、李徴は一流に届くかどうかという領域まで近づいては居たのです。
しかしやはり一人でこもりきって、作品を批評されることもないままに作り続けた李徴の詩には、何かが足りなかった。
批判されるのは屈辱かもしれないけれど、やはり行動するべきだったのです。
互いに詩を批評しあったり、広く詩を公開して感想を聞いたりね。
次は徒然草ですね。
「下手な人生論より徒然草」という本がきっかけではまったのを覚えています。
思い浮かぶのはその中の一文。
「まだまったくの未熟なうちから、上手な人のなかに混じって、貶されても笑われても恥ずかしがらず、平気で押し通して稽古に励む人は、生まれつきの天分がなくても、稽古の道で立ち止まることなく、また勝手気ままにすることなく年月を送る。
だから、器用だが稽古に励まない人よりも、最後は上手と言われる地位に達し、人徳も備わり、人に認められて、並ぶ者のない名声を得るのである」
馬鹿にされたり否定されたりされつつも、上手い人の中で揉まれるのは大事だよと。
批判を恐れてぬるま湯のなかに居ても成長なんてしません。
とにかく行動すること。継続すること。
これが大事っていうのは色々な書物で説かれていますね。
さて、岡本太郎は日本を代表とする芸術家です。
縄文時代の再評価を行い、その文化の素晴らしさを伝えた功績を考えると、
縄文好きの自分的にはナンバーワンと言っていい芸術家なのですが、
彼は常々言っています。
「むしろ嫌われなきゃだめだ!!」と。
自分という個性を出したら、大半の人は反発するもの。
大衆に迎合したものを素直に世に出していればウケは良いだろうが、
しかしそれでいいのか? 違う!
気持ち悪がられるくらいの、嫌われるくらいの、そういうものこそ芸術だ!!
そんな感じなのが岡本太郎先生ですね。
現に岡本太郎の絵というのは、独特すぎる世界観を持っており、
多くの人は「えっ・・・ちょっとなにこれ気持ち悪い・・・」という感想を抱きます。
しかし岡本太郎曰く、「それがいい」のです!!
これを岡本太郎著、「今日の芸術」で読んだ時には非常に感銘を受けましたね。
「気持ち悪い」と思われるくらいに感情を揺り動かしてこその芸術もあるのです。
そしてふと美術館から家に帰ってみれば、その気持ち悪いと思った絵が強く印象に残っている
・・・あれ、なんか芸術方面の話に逸れていってしまいましたね。
要するに岡本太郎も
「自分をどんどん出していけ!嫌われたって気にするな!!」
というエールを送ってくれているのです。
そして「嫌われていい、むしろ嫌われるくらいじゃなきゃダメだ」と突き進んだ岡本太郎は、
本はベストセラーになり、そのキャラクターも、人生も、作品も、
嫌われるどころか好かれるようになったのです。
というわけで、嫌われたって否定されたって、
自分のやりたいことを全力でやりましょうという先人の教えでした。
自分もそうありたいものです。
今日の芸術―時代を創造するものは誰か (光文社知恵の森文庫)
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