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腸内フローラがすごいらしい

 

「腸内フローラ」とは、人間の腸の中の微生物たちのこと。

これが最近熱いようです。

  参考:NHKスペシャル「腸内フローラ~解明!驚異の細菌パワー~」

 

 

御存知の通り、人の腸内には大量の微生物が住んでいます。

便の体積のうち、1/3~1/2は微生物と言われており、人間の体重の1kg~2kgは腸内細菌の重量だと言われていますね。

そしてこの腸内細菌たち、つまり「腸内フローラ」が、人間の肥満やら糖尿病やらガンやら、果ては美容にまで関わってくるという研究結果がここ5年くらいでかなり進んでいるそうです。

 

なんでこんなことを取り上げたのかといえば、自分が「何も食べない人」に興味を持っていたから。

何も食べない人は「ブレサリアン」、水だけ飲んで物は食べない人を「リキッダリアン」なんて言ったりしますが、「この人達はなぜ生きていられるのか」ということを説明する際に、「生きるのに必要な栄養素は腸内細菌が作っているのでは?」なんて言われていたわけです。

 

植物で言えば根粒菌なんてものがあります。

根粒菌は空気中の窒素を固定してアミノ酸やらを作り、植物に供給します。

また、植物は根粒菌が生きられるように、水やら無窒素化合物を供給するわけです。

共生の例として学校で習いますよね。

牛なんかも胃の中で微生物を飼い、消化できない繊維質を分解してもらう、なんてことをしてます。

 

一方人間の腸内細菌に関しては、今まではそんなにスポットがあたって来なかったというか、「悪玉と善玉が居て、悪玉が増えるとヤバイ!」程度な意識しか自分はありませんでした。

それがここへ来て、現在問題にされているあらゆる問題に関わってるかもという研究結果です。

 

 

◆肥満に関わる

腸内フローラの細菌の構成内容によって、肥満するかどうかも決まる!

つまり腸内フローラが「太りやすい構成」だったら、他の人と同じ量を食べたとしても、余計にダイエットが大変なわけですよ。

これを実験で証明したのはワシントン大学のジェフリー・ゴードン博士。

完全無菌の装置を用意し、「肥満の人の腸内細菌」と、「痩せている人の腸内細菌」をそれぞれのマウスの体内に移植。

同じ量の餌を食べさせると・・・「肥満の人の腸内細菌」を移植したマウスの脂肪だけが、どんどん蓄えられていくという結果に。

 

原因は腸内細菌の一つ、「バクテロイデス」。

バクテロイデスは「肥満を防ぐ」のですが、肥満の人の腸内フローラにはこのバクテロイデスが少なかったのです。

バクテロイデスは腸内で栄養を得ると「短鎖脂肪酸」を出し、それが血管から全身に運ばれ、脂肪細胞への脂肪の取り込みを防ぎ、筋肉では脂肪の燃焼を加速させます。

だからバクテロイデスが少ない「肥満の人の腸内フローラ」を移植させたマウスは太ってしまったわけですね。

 

 

◆シワに関係する

藤田保健衛生大学の松永佳代子さんによると、ある腸内細菌の出す「エクオール」という女性ホルモンに似た物質が「シワを浅くする」とのこと!

実験では、エクオールを含む錠剤を飲んでもらい、3か月経過観察。

するとシワが確かに改善していたのです!!

クオールが肌の張りを保つコラーゲンの生産を増やしたのではないかと言われています。

 

つまりはこの細菌が多い腸内フローラを持っている人は、女性ホルモン的な効果で、肌がコラーゲンな感じになると言うわけですね。

それに加えて骨密度などにもエクオールは関わっているとか。

 

 

◆糖尿病治療にも

糖尿病は血糖値を下げるインスリンが出にくくなってしまう病気ですが、「短鎖脂肪酸が減少すると、インスリンの生産も減少してしまう」という研究結果が出たのです。

ルイジアナ州大学のフランク・グリーンウェイ医師は、「短鎖脂肪酸を作る腸内細菌を増やすことで、インスリンの生産を向上できないか」と考えました。

医師は腸内細菌の餌を独自に配合。(食物繊維ポリフェノール?)

その餌を糖尿病患者が飲んでみると、実際にインスリンの量が増えたとか。

 

 

◆がん

がん研究会 有明病院では、患者や健康診断に来た人から便を集めて、腸内フローラの調査を開始しています。

そして、がんを引き起こす腸内細菌をみごと特定し、「アリアケ菌」と名付けました。

アリアケ菌はDCAという物質を出し、人の細胞を老化させ、発がん物質をまき散らす細胞に変化させるのです。

そしてアリアケ菌は肥満になるとめちゃくちゃ増えるということも発見。

 

つまり、「アリアケ菌が腸内フローラにいっぱいいる」+「肥満」の人は、がんになる可能性が高いということですね。

その一方で、前立腺がんを予防する「ナッツ菌」というのも発見されているそうです。

 

◆ディフィシル菌への対抗策

ディフィシル菌は抗生物質が効きません。

なので、抗生物質を投与して他の腸内細菌がみんな死んでしまったあとには、ディフィシル菌だけが生き残ってしまい、他の菌がいないので大量増殖するわけです。

この菌は下痢症や大腸炎、偽膜性大腸炎の主要な原因菌で、大量の毒素を吐き出し、アメリカでは年間1万人がこれにより亡くなっているとか。

薬もあまり効かない、そんなディフィシル菌への対応策、

それが「便微生物移植」

 

やり方: 健康な人の便を水で溶かす

         ↓ 

     患者の腸にそのまま流し込む

 

なかなか凄まじい方法ですが、要するに腸内フローラを健康な状態に上書きしちゃおうってことですね。

しかし効果てきめんらしく、生命維持装置を使っていたような患者が次の日にはすっかり良くなったというほどの即効性だそうです。

 

◆性格にまで!?

あくまでもマウス実験ではありますが、「臆病なマウス」と「活発なマウス」を用意し、それぞれの腸内フローラを入れ替えたところ、臆病なマウスはちょっと活発に。

活発だったマウスはほんのちょっと臆病になりました。

この研究は今後さらに進めていき、うつ病治療にも使われる予定だそうです。

うつ病には食事の見直しが大事だという意識が最近広まってきましたが、腸内細菌にも目を向けるようになるのかもしれませんね。

 

 

 

赤ちゃんは胎内にいるとき「腸内は無菌」と言われており、主に出産時に母親から腸内細菌を受け取ることによって、腸内フローラが形成されると言われています。

その後は一生、腸内フローラは大きな変化はしないとのこと。

つまり、母と子の腸内細菌は似る?

「親も子も太りやすい」というのは、遺伝子以外にも腸内細菌が関わっている可能性が・・・?

 

思っていた以上に人間と細菌は共生関係にあったのですね。

未来では「ベストな腸内フローラ」なんてものが販売されて、みんながそれを腸内に注入するなんてこともありえない話ではないのかも・・・?