VR実現を目指して

VRを目指す人の応援記事や、ニコ動関連の雑記など。

振り込め詐欺について考える2 息子を装う手口

犯行手口を語る前に、参考にしたサイトを挙げておきます。

ズバリ、 警視庁 と 県警 のサイトです

警視庁のサイトでは実際の犯行手口の再現音声がありますし、
物によっては実際にかかってきた電話の録音も公開しています。
 ※URLを載せると色々面倒らしいので、個人でパパっと検索をお願いします

千葉県警のサイトでは、
実際の音声だけでなく、振り込め詐欺の被害にあった方が書いた文章も見ることが出来ます。
「親として息子を救いたかった」という思いが伝わって来ますし、
「うちの家族は騙されるわけない」なんて考えてられない気分になります。


◆犯行手口 ~息子を装う場合~

●名前
・犯人グループは名簿などを入手しており、息子の名前を知っている場合があります
 名前を名乗ったからといって信用するのは非常に危険ですね。
 犯行組織は多数あるので、「オレオレ」の手口がなくなったわけではなく、
 とにかく回数で稼ぐ場合には名簿など見ずに名前を名乗らない場合もあるでしょう。
 
 実際の犯行では、名前を名乗らずに「駅から電話あった?」という電話をまずかけて、
 その後、駅員役が、「荷物が届いています。息子さんの名前と住所と電話番号を…
 と繋げて、あらゆる情報をいとも簡単に奪われた例もあります。

●声
・風邪を装うのが定番ですが、そのままの声で話す場合もあります。

※実際にあった例
 風邪を装って電話をする
      ↓
「あ、携帯変えたからこの番号で登録しておいて」
      ↓数分後に再度電話
「病院行ったけど喉がうんたらかんたらで…」

という感じで息子になりすます例がありました。
しかしここで注目するべきは「携帯変えました」なのです。


●携帯の番号を変える
・番号を変えると何が起きるでしょうか?
まず言えるのは、
本当の息子に再度連絡されて、詐欺かどうか確認される恐れ」がほぼなくなります。

また実際にあった例では、「携帯番号を変更した理由」を
カバンの紛失のせい」にすることで現実味を持たせて、
更にそこから「鞄の中にあった会社の小切手の紛失」に繋げた例もあります。
話として実にスムーズです。

他には上で述べた「」に関わってくるのですが、
息子の声じゃない」という指摘に対し、
それは電話を変えたからだよ。新しい番号はね…」というように繋げる例もあります。

なんにせよ、一度携帯番号を変更させてしまえば、
その後偶然、本物の息子が電話をかけたりでもしない限りは問題が発覚しません。

そして、そもそも犯人グループはそんな隙は与えません。
振り込め詐欺は、対象が思考する機会を全力で排除するのです。


●時間制限
・騙しのテクニックとして、対象の思考時間を奪うのは非常に重要です

実際の犯行の例で見て見ましょう。
警視庁のサイトにある再現音声の内容を箇条書きにすると以下のようになります。

・未公開株を300万ほど購入したが、詐欺だった…
・お金は経理から借りたんだけど、なんと経理は会社の金を横領して俺に貸していた!
・上司は経理だけじゃなく俺も訴えるって言ってる。
・でも、今日の夕方の監査の前に金を返せば訴えないらしい
・急いでお金を用意してほしい。絶対返すから!母さんにしか頼めない!
お金はこれからすぐ俺が取りに行くからね!
・上司がお前は会社に残れって……俺信用されてないみたい……。
・代わりに会社の宅配業者が行くから、しっかり梱包してお金を渡してくれる?


夕方の監査までに金を用意しなければならないという非常事態。
しかも息子は株の詐欺に騙され、経理に騙され、
さらにはこのままじゃ訴えられてしまう。
息子は悪くないんだ、救えるなら救いたい。
そう思ってしまうのが親心というものでしょう。

そして時間制限がある中では詐欺について考えている場合じゃないのです。
急がなければ息子の人生が終わってしまうのですから。

そう思わせるために有効だと個人的に思うのは、
このあと俺が家に行くから」と詐欺犯が言う部分でしょうか。
息子が「家に行くから」なんて言い出した時点で、
もう振り込め詐欺なんて発想は彼方に飛んで行きそうです。
もちろん、その後受取人は変更されるわけですが。

この例では、タンス貯金があったからそれをそのまま受け渡すということで
スムーズに宅配業者に渡すという流れになっていますが、
実際には銀行にお金を下ろしに行くという場合もあるでしょう。
しかし時間制限はこういうところにも効いてきます。

窓口で「振り込め詐欺じゃないですか?」と注意を受けようと、
息子の一大事なの!早くお金を下ろして!” という感情がまさってしまうのです。

考えてみれば住所も割れてるんですよねこの例……恐ろしい。

他の手口を見ると、受け取りに来るのが上司だったり、弁護士だったり、
待ち合わせ場所が近くのコンビニだったりなどバリエーションがあるのですが、
いずれにしても手の込んだシナリオを考えて、しっかり配役も決めているようです。

警視庁によると、現在はこういった電話を使った詐欺に関して言えば、
振込型は1割、現金受取型が8割となっているそうです。
犯罪は進化します。そして対策が広まる頃には既に次の手も考えているのでしょう。

長くなったので次回には警察官や銀行員などを装った例を紹介します。
そして最近流行っている「キャッシュカード」を奪う詐欺についても。
・・・もう完全に振り込め詐欺ではないですねこれ。